天使に見捨てられた夜 |
「天使に見捨てられた夜」桐野夏生/著 講談社文庫 《from Book date bace》 失踪したAV女優・一色リナの捜索依頼を私立探偵・村野ミロに 持ち込んだのは、フェミニズム系の出版社を経営する渡辺房江。 ミロの父善三と親しい多和田弁護士を通じてだった。 やがて明らかにされていくリナの暗い過去。都会の闇にうごめく 欲望と野望を乾いた感性で描く、女流ハードボイルドの長篇力作。 《読み終えて》 面白かった!実に面白かった! Amazonのカスタマーレビューの評価はイマイチだけど 僕にはすこぶる面白く感じだよ。 実はこの本は「私立探偵・村野ミロ」シリーズの第2弾なんだそうだ! シリーズ1弾は「顔に降りかかる雨」で第39回江戸川乱歩賞を受賞したらしい。 そっか…読み順番を間違えたのか? ま…それはさておきとにかくおもしろかった。 内容はネタバレになるので書けないけれど ミステリー&サスペンスってかんじで 最初はふつうにAVに出てた女の子を捜すだけの筈だったけれど ゆっくりなスピードからだんだん早まっていく感じ。 そして途中からホラーな怖い女の「リカ」を彷彿させる感じに 変わってくのが怖かった 決して強い無敵の荒唐無稽な主人公ではなく 村野ミロは傷みも恐怖もふつうに感じるありがちな生身の女性だ。 しかし…諦めるということばを持たない人でもあるから どこまでも追いかけていくんだろう。 依頼主も女で依頼された村野ミロも女 そして捜索する人物も女で物語を司る主たる登場人物は すべて個性的な女性ばかりなのだ。 男はほとんど脇役にすぎない。 桐野夏生さんて凄いなぁって思ったのは 的であるAV会社の男に自宅で抱かれるのだけれど 性交及び性描写が一行も無くベッドインする前と 終えた後が簡素化してかかれてるだけなので 前フリからの男女それぞれの心理描写のせいか 情熱的な性交があったように感じさせられるから驚いてしまった。 そして 最後の最後で衝撃的な結末になるんだけど なんか最後は映画「人間の証明」のラストショットを思い出して ん?え?これで終わりにしちゃうんだ…って軽く驚いたけど まぁ…違和感が無かったのでいいんだけどね。 ミステリー&サスペンスなんだけれど 人間性も巧みに描いたヒューマンドキュメントのようにも感じるのは 果して僕だけなんだろうか? この本を読んだら 他の「私立探偵・村野ミロ」シリーズも読みたくなってしまった。 ちなみに 桐野夏生さんて初めて読んだ!って思ったら 実は前に「東京島」っていう女ひとりと男数人が 無人島に漂着するっていう本を読んでたんだ。 でも…僕の記憶じゃ「東京島」は面白くはあったけれど 感動するほどではなかった気がする。 で…桐野夏生さんて初めて読んだ!って 思ったのは「東京島」と「天使に見捨てられた夜」が 同じ作家さんの作品に感じなかったからだろうね。 あ…それから 「天使に見捨てられた夜」って随分前に かたせ梨乃主演で映画になってたんだね。 全然知らなかった。 2017.8.8-火曜日の朝読了 |
by 77wings
| 2017-08-08 19:04
| 風の本
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